陽北中学校出身 東京大学 理解一類 現役合格

  • まず始めに、お世話になった英進科の先生方に心より感謝の意を表したいと思います。今後の英進科の指導の一助になることを願い、受験体験記を書かせていただきます。
  •  高校に入学して驚いたことは、クラスの人の勤勉さでした。休み時間にクラスの人が黙々と勉強する様子を見て、高校は中学校とは異質な場所だと思いました。私も周りの人の真似をして、勉強するようになりました。
  •  1年生の時に印象に残ったことは、卒業生の先輩の講演です。先輩は数学の話をしていると、とても活き活きします。高校1年生の私には夢中になれることがなかったので、先輩を羨ましく思いました。
  •  高1で下した最も重大な決断は文理選択でした。当時は世界史が一番の得意科目だったので、私は文系を選択しようとしました。その後よく考えてみると、文系は国社英に特化するのに対して理系は国数理社英を幅広く学べることに気づきました。5教科をバランス良く学ぶには理系が良いと判断して理系を選択しました。
  •  英進科は1年から2年に進級する際にクラス替えを行いません。1、2年のクラスのメンバーが同じなので、自然とクラスの緊張感が薄れてきます。実際に私が2年生の時、2年1組は秋から冬にかけてだらけてきました。私も少し気が緩みかけていたので、学力の衰えを心配しました。
  •  高2の時の私は熱心な根性論信者だったので、睡眠時間さえ減らせば学力は伸びると思っていました。平日の睡眠時間は4、5時間前後になり、学校でもボーっとしてしまう時間が増えました。家でも居眠りする時間が増え、平日の自宅学習時間は実質1時間になってしまいました。たとえ勉強をやる気があっても、予習や復習をおろそかにしたり、効率の悪い勉強をしていては、学力は伸び悩みます。私は思いきって早寝早起を心がけたところ、勉強の効率が良くなりました。皆さんも生活習慣を整えましょう。
  •  高2の冬休み以降は、国語、社会、理科を重点的に勉強しました。当時の私の考えは、教科書を理解していればよいというものだったので、数学や英語は軽視しがちでした。
  •  国語の中でも特に和歌や漢詩に興じました。和歌や漢詩の専用ノートをつくり、常に身につけて音読していました。2年の後半は息抜きに和歌や漢詩を読むほど没頭し、数学や英語の勉強時間は減る一方でした。
  •  高2の冬には政治経済に興味が湧いてきました。理系で世界史、地理、政治経済を勉強することは、受験常識的に考えても受験に不利になります。それでも政治経済を勉強したいと思いました。私は川俣先生に頼みこんで、特別に政治経済を勉強できることになりました。今でも政治経済を勉強したことは無駄ではなかったと思います。
  •  高校3年生になってからも、数学と理科の成績は振るいませんでした。理数に不安を抱えたまま受けた河合塾の東大オープンでは数学が9点で最低評価のD判定を受けました。京都大や東北大の模試を受けた人達が良い判定をもらっていたので、絶望しました。「このままでは落ちる」と実感しました。D判定をとって数日後に、藁にも縋る気持ちで「数学は暗記だ」(和田英樹著)という本と「受験は要領」(和田英樹著)という本を読みました。私がこの2冊の本から学んだことは次の2つです。1つ目は「数学の問題は10~15分考えてわからなかったら解答を熟読して、もう1度自分で解き直す。手ごわい問題はカードにして覚えこんでしまう」です。2つ目は「友人に積極的に質問したり、受験の相談をする。友人のテストの点数を下げるような姑息なことはしないで、友人と助け合って勉強する」です。
  •  和田式採用後1ヶ月で友人と協力しながら青チャートⅡ・Bの重要例題をすべてマスターしました。その後は1・2年の授業のプリントのうち、良問と思われる物をすべてピックアップして覚えました。例えば、「cos36°を求めよ」(もちろん誘導問題なし)などは面白い問題です。
  •  和田式採用後2、3ヶ月間は数学漬けの毎日でしたが、12月になるとセンター試験を意識するようになりました。センタープレテストの点数が足切りギリギリの点数だったので、数学1本の勉強は止めました。
  •  難関大を志望する生徒の標語は「センターに気をとられすぎるな」です。私も当初はセンター試験をナメていたので、センター対策にはあまり時間を割きませんでした。センターの問題なら練習しなくても9割くらいはとれると思っていたのです。実際にセンターの予想問題をやってみると、数学、理科は平均9割でしたが、英語、地理、政経は平均8割、国語は平均7割でした。
  •  センター試験の国語は他教科に比べると異常に難しく(私にとって)、危機感をもちました。過去問を隅々まで読解し、知らない古文単語(例えば、「みるめ」、「うなゐ」など)はノートに書いて覚えました。満を持して望んだ2002年度のセンター試験の国語は200点満点中130点未満の点数でした。2002年度の国語を解いたのは、センター試験の前日でした。
  •  今だから打ち明けますが、私はセンター試験1週間前に高校生活史上最悪の風邪をひいてしまいました。しかし、センター試験本番では自己ベストを出すことができました。受験生に伝えたいことは「万が一試験前に体調を崩しても、気にしなければ大丈夫だ」ということです。
  •  センター試験当日は予想外に緊張しませんでした。「頑張ったんだから出来なくても仕方がない」という気持ちになって開き直ったからです。
  •  センター試験後は本格的に赤本を勉強しました。東大の問題はひねくれた問題が少なく、深みがあるので、研究する甲斐がありました。1日じゅう赤本を勉強していたので、赤本が面白いように進みました。1日1日が充実していたと思います。
  •  僕は人生で2つ入試を経験しました。慶應義塾大学入試と東京大学入試です。試験当日の雰囲気を書くので参考にしていただければ幸いです。
  •  慶應大入試の当日の朝は、駅で栃木県では考えられないほどの人ごみに遭遇しました。気持ちは落ち着いていましたが、体は正直でした。駅を出るとすぐにお腹をこわし、自分でも驚きました。試験会場に到着して周りの人を見ると、見るからに頭のよさそうな人がたくさんいました。さらに緊張した私は最後のテスト(英語)の直前に発熱さえしました。初めての大学入試ということもあり、1日じゅう周りに圧倒された1日でした。
  •  東大入試の当日の朝は、東京の人ごみには慣れていました。校内に入るまでの道では、各予備校や東大のサークルの一部がビラやキットカットやティッシュを配っていました。校内に入ると、試験教室がわからないので迷いました。運よく親切な大学生が私を教室まで案内してくれました。彼は素朴で優しい人でした。私が緊張しているのではないかと心配して次の言葉をかけてくれたのです。「なんか、リスニングの音が籠ってて、全然聞こえなくて、勘で埋めたら全部間違ってて・・・・・それでも受かるんだよ。」彼の言葉は実体験に基づいているので、とても説得力がありました。彼のおかげで、私は試験中に緊張することなく入試の2日間を過ごせました。 試験教室について周りを見渡すと、慶應大入試の日より頭の良さそうな人がたくさんいました。私は慶應大入試にも増して周囲に圧倒されてしまいましたが、不思議なことに全く緊張しませんでした。私は「落ちても受かっても高校生活は充実していたと思う。最後の試験は楽しくやろう」と開き直っていました。

謝辞

  •  ここで改めて謝辞を述べたいと思います。3年間担任を務めて下さった染野先生、多方面でのご指導ありがとうございました。川俣先生には個人的な要望を受け入れて政治経済や小論文を指導して下さったことを感謝します。貴重な蔵書を貸して下さった綱川先生、ありがとうございました。英進科創設以来、英進科の発展に尽力されてきた牧島先生、今後も英進科の更なる発展を心よりお祈り申し上げます。また名前を挙げることのできなかった英進科の先生方、3年間本当にお世話になりました。

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